フライトジャケットとは

言うまでもありません、飛行任務に携わる人達が身に付ける上着のことです。

フライトジャケットの種類

時代により、素材や形態に変化を重ね、色々な種類の物が作られて来ました。
ここでは、その中から代表的な物を分類してあります。

米空軍

年代 名称 説明 素材
第2次世界大戦 A−2 米陸軍航空隊が支給した革製のフライトジャケット。
革製のフライトジャケットとしては、最も知られているものでしょう。
ワイシャツの様な襟があり、左右にフラップ付きのパッチポケットがあり、ホックで止める。中綿などは無く、風を防ぐ程度の薄手の物。
製造メーカーにより非常に多くのバリエーションが存在します。
映画「大脱走」で、マックウィーンが着ていたことでも有名。
馬革、牛革、鹿革
B−3 米陸軍航空隊が支給した革製のフライトジャケット。
羊の毛皮の裏を外側に、毛皮を内側にして保温性を重視したジャケット、表はラッカー塗り仕上げで独特の質感がある。内側が毛皮なので、非常に暖かい。主に高高度を飛行する戦略爆撃機搭乗員に支給された。
羊革(毛皮)
D−1 B−3によく似ているが、こちらは地上整備員用に支給されたもので、
B−3より毛足が短く、簡素な作りになっている。
羊革(毛皮)
B−10 米陸軍航空隊が支給した布製のフライトジャケット。
革不足から、素材をコットン生地に変えて作られた。
裏地にはアルパカの毛が使われ、襟にはムートンの毛皮が付けられた。
A−2と同じ形のパッチポケットだが、一見するとコットン生地で作られた海軍のG−1に見えてしまう。
綿
B−15 アルパカ毛むき出しの裏地や、襟のムートンはB−10と同じだが、ポケットはハンドウォーマータイプになり、立体裁断が採用されたことから、B−10とはかなり印象が変わった。
MA−1の始祖とも言えるジャケット。
綿
B−15B B−15の素材をナイロンとしたタイプ ナイロン
戦後〜
50年代始め
B−15C

戦後、米陸軍航空隊が陸軍から独立し、空軍が誕生。
B−15はCタイプとなり、生地はナイロン、色は新生空軍をアピールするエアフォースブルーになる。
それまで革製や布製だったヘルメットも、グラスファイバー製の物に変わり、襟の毛皮が邪魔になったことから、その襟を取り去りニット素材の襟に付け替えた物が、B−15C・MODで、見た目はMA−1そのもの。
ナイロン
L−2A 革製のA−2に代わる、薄手のナイロンジャケット。
B−15C・MODを基本形とし、肩にエポレットが付いた。
色はもちろんエアフォースブルーだ。
ナイロン
N−2A B−3から続くヘビータイプも、ナイロン製の新デザインとなり、頭をすっぽりと覆うフードの内側にも毛皮が張られ、縁には吹雪を防ぐコヨーテの毛皮が付けられた。また、ヘルメット使用時の考慮から、フード中央のジッパーを開くことにより、肩にたらすことが出来る。
B−15と同様、エアフォースブルーとなった。
機内作業のしやすさを考慮した、丈の短いタイプ。
ナイロン
N−3A N−2Aと同様だが、こちらは丈の長いタイプで、フードのジッパーは無い。機内作業には向かない。 ナイロン
50〜60年代 B−15D エアフォースブルーをセージグリーンに変えた物 ナイロン
B−17 女性用のフライトジャケットで、B−15Dのデザインを踏襲している為、よく見ないとB−15Dと見間違える。 ナイロン
MA−1 B−15Dから毛皮の襟を取り去った、B−15D・MODのデザインをベースに、MA−1が誕生する。 ナイロン
L−2B エアフォースブルーをセージグリーンに変えた物 ナイロン
N−2B エアフォースブルーをセージグリーンに変えた物 ナイロン
N−3B エアフォースブルーをセージグリーンに変えた物 ナイロン
60〜70年代 MA−1 酸素ホースクリップタブが廃止される。Cタイプの途中から裏地がオレンジになる、EタイプになるとポケットにはL−2Bと同じ形のフラップが付いた。
少しづつ改良が加えられていく。
ナイロン
L−2B MA−1同様、酸素ホースクリップタブが廃止される。途中から裏地がオレンジになる。後期モデルでは裾のホック付きフラップが廃止される。 ナイロン
N−2B
N−3B
N−2B、N−3Bの生産も続く。襟のコヨーテ毛皮は原材料の不足により白いアクリルに変更されている。 ナイロン
70年代〜現在 CWU−45P 非常に火に弱いというナイロンの弱点から、搭乗員を守る為に、
新素材ノーメックスで作られた新型のジャケット。
中綿入りのタイプ。
ノーメックス
CWU−36P CWU−45Pから中綿を除いたもの。 ノーメックス
MA−1 CWU−45Pの登場により、パイロット用のフライトジャケットの座を明け渡した後、民間用に製造していた中綿がポリエステルのタイプを地上要員向けに支給した。裏地はグリーン。「グラウンドクルー・モデル」と呼ばれている。 ナイロン
N−3B N−3Bも支給対象が地上要員向けに変わった。表地はコットンポプリンで、つやが無いのですぐにわかる。
正式にはもはやフライトジャケットととは呼べない物とななった。
コットンポプリン


米海軍

年代 名称 説明 素材
第2次世界大戦 G−1 米海軍が支給した革製のフライトジャケット。
陸軍のA−2と同様、中綿などは無い薄手の物だが、襟にムートン毛皮が付いていて保温性は高い。左右にフラップ付きのパッチポケットがあるが、こちらはボタン止め。
牛革、鹿革
戦後の海軍 G−1 戦後、ジェット機の時代になっても、海軍はG−1を支給し続けた。現在でも支給され続けている。 牛革、鹿革
J−WFS 海軍が支給した、中綿入りの防寒フライトスーツ。
これは、ウェストを境に、上下に分割することが出来るもので、
海軍の飛行士は、この上部のみをジャケットとして愛用した。
その後、CWU−45Pが開発されるまで支給される
ナイロン



航空自衛隊

年代 名称 説明 素材
〜90年代 創設当時から、米空軍と同じように、エアフォースブルー(紺)のナイロン製ジャケットを支給。
中綿は無く、裏地は黄色。パイロットだけではなく、
全ての隊員に同じものが支給された様だ。

80年代に、静電気防止加工の施された物が登場している。
ナイロン
90年代〜 飛行任務を行う搭乗員向けに、ダークグリーンのフライトスーツが支給され始め、それに合わせてフライトジャケットもダークグリーンのノーメックス製になった。 ノーメックス